アンチョビな人生

アンチョビは食べたことがありません。

ヒメアノ〜ルを観て、殺人はいつも隣にあることを知る

私の中で、絶対に手元に残しておきたい映画というものがあります。

 

それは感動するものであったり、恋愛であったり。

 

その中でも上位に来る映画があります。

 

それは古谷実原作の「ヒメアノ〜ル」という映画です。

 

この映画はV6の森田剛演じる森田くんと、濱田岳演じる岡田くんの話です。

 

森田くんと岡田くんは対極に位置する存在です。

岡田が+なら、森田は一。

それくらいに対極な存在の2人の存在を、序盤は並行して流していきます。

 

この、絶対に交わらないであろう2人が交わった時 日常では絶対に経験することのない恐怖を見ることになるのです。

 

正直言ってものすごく怖いです。

 

グロテスクな映像がひっきりなしに流れます。

 

きっと森田剛目当てで見て後悔した女性はものすごく多いと思う。

 

全てがリアルなんですよね。

 

「人を殺すって、こういう状態なんだな」

「人が死ぬ時って、こんな感じなんだな」

「人が恐怖を目の前にした時、こんな状態になるんだな」

自分が絶対に知り得ない現実が、この映画を通して知ることになります。

 

はっきり言って、こんな映画を手元に残しておきたいとか正気の沙汰じゃないかと思われるんですけどもね。

この映画の何がすごいって、ラストの数分で全ても持っていくところなんです。

 

森田くんは登場早々人を殺します。

えぇ。

思いっきり殺します。

殺されたわぐっちゃんの、なんと演技の上手いことか。

 

殺す側も殺される側も、演技が素晴らし過ぎてかなり恐怖を覚えます。

 

そして、森田くんは終始頭がおかしいのです。

人を殺す時点で頭がおかしいのは分かるんですけどね。

なんというか、サイコパスな雰囲気を醸し出しているんですよね。

 

とりあえず平気で人を殺します。

もう思いっきり殺します。

 

なんて冷酷な男なんだ…と思えば

ヤンキーに絡まれたらボッコボコにされます。

 

こういう人、いるよね。

というのが私の感想です。

 

森田くんが殺す人って、基本的に女性か優しそうなおじさんとかなんですよね。

 

要は、自分よりも弱いものにしか強くできないタイプの人間なんです。

 

集団でしか強がれない奴よりは幾分マシかもしれないけどね。

まぁ、殺人おかしてる時点でマシもクソもないですね。

 

そんな森田くんですが、岡田くんの登場により森田くんの過去を少しずつ知ることになります。

 

彼らは高校時代の同級生なんです。

岡田くんの好きな人が森田くんにストーカーされているということで、ついに岡田も森田が交わります。

 

そこからはもう怒涛です。

 

殺すわ殺されるわ。

 

もう、同情の余地ねぇよ森田。

 

と普通は思うんですね。

 

でも、私にはどうしても森田くんだけを責めることはできませんでした。

 

森田くんには、ある過去があります。

 

そうです。

「いじめ」です。

彼は高校時代に虐めにあっていたんです。

 

私は、この虐めのくだりが自分の胸に刺さったように感じました。

 

「あぁ、人ってほんの少し道が違うだけで人を殺すことになるんだな」

 

そう思いました。

 

私たちは殺人事件があった時、その犯人を責め立てます。

当然ですよね。

人間が、同じ人間の命を奪っていい理由なんてどこにもないんですから。

 

だから、大前提で人を殺す人間が一番悪いということはちゃんと理解しています。

 

でも、もしかしたら私たちが一部の殺人者を作っているのかもしれない そう思ったんです。

 

私は、この映画を見て、いつも下記の事件を思い出します。

 

www.dailyshincho.jp

 

本当に少しの違いなんです。

少しの違いで、人は人を殺してしまうんです。

 

全員が全員、人を殺したくて殺そうと思ったんじゃないんだろうな と私は思いました。

 

森田くんに至っては、虐めがなければ彼は多分人を殺してなんかいないんですよね。

 

多分ですけど。

 

虐めがトリガーとなって、彼は人を殺しはじめたんです。

 

そういうことに気づくと、絶対に許されることのない殺人者を作っているのは自分たちなのかもしれない という現実が見えてきます。

 

そして、この映画では最後の最後でその気持ちをものすごく強くさせてくれるんです。

 

最後のたった数分間。

 

私は何度見ても必ず号泣します。

 

多分5回以上は見ているはずです。

必ず号泣しました。

 

それくらいに、森田くんという存在が不憫に思えたんです。

 

自分だって、もしかしたら彼と同じで人を殺したかもしれない。

 

自分はすごく恵まれているのかもしれない。

 

ほんの少し彼の人生が違っていれば、彼はおじいさんになっても笑っていたのかもしれない。

 

彼を変えたのは、周りの人間なんだろう。

 

周りにもっと恵まれていれば、人を殺す必要はなかったんだろう。

 

そういういろんな思いが心の底から溢れて、必ず毎回号泣してしまいます。

 

私は、この映画を本当に勧めたい。

でも、かなり人を選ぶ映画なので受け付けない人もきっとたくさんいると思う。

 

でも、もっとたくさんの人に見てもらいたい。

 

人には過去があって、その過去から今の自分ができているということを知ることができるから。

 

ほんの少し道を誤れば、自分だって同じ世界に立っていたかもしれない。

 

自分が今の自分であることを、もっと喜ぶべきなんだと思う。

 

人を殺さないことは至極当たり前だけど、人を傷つけないことも至極当たり前だということに気づけるはずだから。

 

もし今、あなたが誰かを傷つけているのなら

あなたは自分の行動に責任を持つべきなんだと思う。

 

もし、その人に傷つけられてもその人を決して責めてはいけない。

 

自分1人の行動が、人にどれだけの影響を与えるのか

みんなが理解すべきだと、私は心から思います。